四半期決算とは何か

四半期決算は、会社の業績を3か月ごとに確認するための情報

四半期決算とは、会社の業績や財務状態を3か月ごとに区切って確認する決算情報のことです。1年分の決算をまとめたものが本決算であるのに対し、四半期決算はその途中経過を示す資料と考えるとわかりやすいです。

たとえば、3月決算の会社であれば、4月から6月までが第1四半期、7月から9月までが第2四半期、10月から12月までが第3四半期、1月から3月までが第4四半期になります。会社はこの区切りごとに、売上高や営業利益、経常利益、当期純利益などの状況を公表します。

初心者が決算を学ぶとき、年に1回の本決算だけを見ても、会社の変化を細かく追うことはできません。四半期決算を見ることで、業績が順調に進んでいるのか、途中で変調が起きているのか、会社の予想に対して進み具合はどうなのかを確認できます。

ただし、四半期決算はあくまで途中経過です。1四半期だけの数字を見て、会社の実力が完全にわかるわけではありません。季節性、一時的な費用、販売タイミング、為替や原材料価格の変動などによって、四半期ごとの業績は大きく動くことがあります。そのため、四半期決算とは何かを理解するうえでは、「早く状況を知るための資料である一方、短期的なブレも含む情報である」と押さえることが大切です。

第1四半期から第4四半期までの基本

四半期決算は、1年間を4つに分けて考えます。第1四半期、第2四半期、第3四半期、第4四半期という言葉は、決算短信や決算発表の資料でよく使われます。

3月決算会社を例にすると、第1四半期は4月から6月、第2四半期は7月から9月、第3四半期は10月から12月、第4四半期は1月から3月です。第2四半期までを合わせたものは「第2四半期累計期間」や「上期」と呼ばれることがあります。第3四半期までを合わせたものは「第3四半期累計期間」として表示されることが多いです。

ここで注意したいのは、四半期決算の数字には「その3か月だけの数字」と「期首からその時点までの累計数字」があることです。たとえば、第2四半期の資料を見るとき、7月から9月だけの数字を見ているのか、4月から9月までの累計を見ているのかで意味が変わります。

初心者は、まず累計数字を見ると全体の進み具合を把握しやすいです。そのうえで、各四半期だけの数字を確認すると、直近3か月で業績が改善しているのか、悪化しているのかを見やすくなります。

たとえば、上期累計では増益でも、第2四半期単独では減益になっている場合があります。この場合、前半の第1四半期は好調だったものの、第2四半期に勢いが落ちた可能性があります。逆に、上期累計では減益でも、第2四半期単独では改善している場合、業績の底打ちや回復の兆しが見えることもあります。

四半期決算で確認したい主な項目

四半期決算を見るときは、まず売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する四半期純利益などを確認します。これらは損益計算書に関係する項目です。

売上高は、会社が商品やサービスをどれだけ販売したかを示します。営業利益は、本業でどれだけ利益を出したかを示します。経常利益は、営業外収益や営業外費用も含めた通常の事業活動全体の利益です。四半期純利益は、税金や特別損益なども反映した最終的な利益です。

初心者は、最初からすべてを完璧に見る必要はありません。まずは売上高と営業利益を中心に確認するとよいでしょう。売上高が増えているのに営業利益が減っている場合は、原材料費、人件費、広告宣伝費、物流費などのコストが増えている可能性があります。売上高はあまり増えていないのに営業利益が大きく増えている場合は、利益率の改善や費用削減が進んでいる可能性があります。

また、貸借対照表の変化も見ておきたいポイントです。四半期ごとに現金及び預金、売掛金、棚卸資産、借入金、自己資本などが変化します。特に在庫が大きく増えている場合、需要を見込んだ準備なのか、売れ残りが増えているのかを考える必要があります。売掛金が増えている場合も、売上の増加に伴う自然な増加なのか、回収が遅れているのかを確認したいところです。

キャッシュフロー計算書については、四半期ごとに開示される内容や表示の詳しさが会社や時期によって異なる場合がありますが、営業活動によるキャッシュフローが利益と大きくずれていないかを見ることは重要です。利益が出ていても、現金が十分に増えていない場合は、運転資金や在庫、売掛金の動きに注意が必要です。

進捗率を見ると業績予想との距離がわかる

四半期決算でよく使われる見方に「進捗率」があります。進捗率とは、会社が発表している通期の業績予想に対して、現在までにどの程度進んでいるかを示す割合です。

たとえば、会社が通期の営業利益を100億円と予想していて、第2四半期累計の営業利益が50億円だった場合、単純に計算すると進捗率は50%です。

計算式は次のように考えられます。

進捗率 = 四半期累計の実績 ÷ 通期業績予想 × 100

この進捗率を見ることで、会社の業績が計画に対して順調なのか、遅れているのかを大まかに確認できます。第1四半期終了時点で25%、第2四半期終了時点で50%、第3四半期終了時点で75%に近ければ、単純には順調に見えるかもしれません。

しかし、進捗率は機械的に判断してはいけません。業界や会社によって、四半期ごとの売上や利益の出方には大きな違いがあるからです。季節性が強い会社では、特定の四半期に売上や利益が集中します。たとえば、年末商戦、年度末需要、夏場需要、冬場需要などの影響で、ある四半期だけ業績が大きくなることがあります。

また、不動産、建設、システム開発、ゲーム、映画、イベントなどのように、売上計上のタイミングが案件や作品の完成時期に左右される業種もあります。このような会社では、第1四半期の進捗率が低くても、後半に売上や利益が集中することがあります。反対に、前半の進捗率が高くても、後半に費用が増える場合もあります。

進捗率は便利な目安ですが、それだけで業績の良し悪しを決めるものではありません。過去の四半期ごとの傾向、会社の説明、業界の季節性、通期予想の前提をあわせて確認することが大切です。

決算発表で注目される理由

四半期決算は、決算発表のたびに多くの投資家や関係者から注目されます。理由は、会社の最新の業績を確認できるからです。年に1回の本決算だけでは、会社の変化を把握するまでに時間がかかります。四半期決算を見ることで、事業環境の変化や利益率の変化をより早く確認できます。

たとえば、原材料価格が上がっている局面では、四半期ごとの営業利益率を見ることで、コスト増の影響がどの程度出ているかを確認できます。円安や円高が進んでいる局面では、為替の影響が売上高や経常利益にどう反映されているかを見ることができます。景気が変化している局面では、受注や販売の勢いが弱まっていないかを確認する材料になります。

また、四半期決算は業績予想の修正につながることもあります。第1四半期や第2四半期の実績が会社の想定を大きく上回れば、上方修正が出る可能性があります。反対に、想定を大きく下回れば、下方修正が出ることもあります。

ただし、決算発表で良い数字が出たからといって、必ず市場で好意的に受け止められるとは限りません。すでに期待されていた水準より低いと判断される場合もあります。また、短期的な費用減少によって利益が増えているだけで、売上の勢いが弱い場合もあります。四半期決算は株価材料として見られることがありますが、短期的な反応だけで会社の価値を判断するのは慎重に考える必要があります。

前年同期比で見ると季節性を避けやすい

四半期決算では、前年同期比という見方も重要です。前年同期比とは、前年の同じ時期と比べて売上高や利益がどのくらい増減したかを見る方法です。第1四半期であれば前年の第1四半期、第2四半期であれば前年の第2四半期と比較します。

なぜ前年同期比が重要かというと、会社の業績には季節性があるからです。たとえば、冬に需要が強い商品を扱う会社では、冬の四半期の売上が高く、夏の四半期の売上が低くなるかもしれません。この場合、直前の四半期と比べるだけでは、本当に業績が改善したのか、季節的に増えただけなのかがわかりにくくなります。

前年の同じ時期と比較すれば、季節性の影響をある程度そろえて見ることができます。前年同期比で売上高が増えていれば、同じ季節条件の中で販売が伸びている可能性があります。営業利益が前年同期比で増えていれば、採算改善や売上増加の効果が出ている可能性があります。

ただし、前年同期比にも注意点があります。前年に特別な要因があった場合、比較が難しくなります。たとえば、前年に大型案件があった、災害や感染症の影響があった、特別利益や特別損失があった、在庫調整があったなどの場合、今年の数字が大きく増減して見えることがあります。

そのため、前年同期比を見るときも、単に増えた減っただけでなく、前年側に特殊要因がなかったか、今年側に一時要因がないかを確認する必要があります。

四半期決算で注意したい短期的なブレ

四半期決算は最新情報を知るうえで便利ですが、短期的なブレが大きいという特徴もあります。3か月という期間は、会社の実力を判断するには短い場合があります。大型案件の納品が少しずれただけで、売上や利益が大きく変わることもあります。

また、広告宣伝費、研究開発費、採用費、設備立ち上げ費用などが特定の四半期に集中すると、一時的に利益が下がることがあります。これは必ずしも会社の競争力が低下したことを意味しません。将来の成長に向けた投資である場合もあります。

一方で、短期的な費用の先送りや一時的な利益によって、四半期の数字がよく見える場合もあります。たとえば、広告宣伝費を抑えたことで営業利益が増えていても、将来の売上成長に影響する可能性があります。保有資産の売却益によって純利益が増えていても、本業の営業利益が伸びていなければ、継続的な収益力とは別に考える必要があります。

初心者が四半期決算を読むときは、1回の決算だけで判断せず、複数の四半期を並べて見ることが大切です。売上高、営業利益率、在庫、営業キャッシュフローなどが数四半期にわたってどう変化しているかを見ると、一時的なブレと継続的な変化を分けやすくなります。

決算短信・有価証券報告書とあわせて読む

四半期決算は、主に決算短信や四半期報告に関する資料で確認されます。決算短信は、決算発表の内容を比較的早く知るための資料です。売上高、利益、業績予想、配当、財務状態などをコンパクトに確認できます。

一方、有価証券報告書は年度ごとの詳しい開示資料であり、事業内容、リスク、セグメント情報、財務諸表、経営者による分析などを深く確認できます。四半期決算だけでは見えにくい会社の構造を理解するには、有価証券報告書も役立ちます。

たとえば、四半期決算で営業利益が前年同期比で減っていたとします。その理由が一時的な費用増なのか、主力事業の競争力低下なのか、原材料価格の上昇なのかを判断するには、決算短信の説明だけでなく、有価証券報告書の事業内容やリスク情報、セグメント情報も確認すると理解しやすくなります。

また、四半期決算の進捗率を見るときも、有価証券報告書で過去の季節性や事業の特徴を知っていると、判断がしやすくなります。決算短信・有価証券報告書は別々の資料ですが、組み合わせて読むことで、短期の数字と長期の事業構造をつなげて考えられます。

初心者が四半期決算を見る順番

初心者が四半期決算を見るときは、読む順番を決めておくと混乱しにくくなります。まず、売上高と営業利益の前年同期比を確認します。会社の業績が前年の同じ時期と比べて伸びているのか、落ちているのかを大まかに把握します。

次に、営業利益率を確認します。営業利益率は、営業利益を売上高で割って考える収益性の目安です。売上高が伸びていても営業利益率が下がっている場合、コストが増えている可能性があります。売上高の伸びが小さくても営業利益率が上がっている場合、採算が改善している可能性があります。

次に、通期業績予想に対する進捗率を見ます。ただし、進捗率は単純に25%、50%、75%と比べるだけでは不十分です。会社の季節性や過去の傾向、下期に費用や売上が集中する可能性も考える必要があります。

その後、会社の説明文を読みます。決算短信には、経営成績に関する説明や業績予想に関する説明が書かれていることがあります。数字だけではわからない背景を確認するために、この文章部分は重要です。

最後に、貸借対照表やキャッシュフローの変化を確認します。売上や利益が好調でも、在庫や売掛金が大きく増えている場合、資金繰りや需要の実態を確認する必要があります。利益だけでなく、現金の動きもあわせて見ることで、より立体的に会社を理解できます。

まとめ

四半期決算とは、会社の業績や財務状態を3か月ごとに区切って確認する決算情報です。年に1回の本決算だけでは見えにくい途中経過を把握できるため、決算発表の中でも重要な資料です。売上高、営業利益、経常利益、純利益、貸借対照表、キャッシュフローなどを見ることで、会社の最新の状況を確認できます。

四半期決算を見るときは、前年同期比、通期業績予想に対する進捗率、会社の説明文をあわせて読むことが大切です。ただし、進捗率だけで順調かどうかを判断するのは注意が必要です。会社や業界によって季節性があり、売上や利益が特定の四半期に偏ることがあるからです。

また、四半期決算は3か月という短い期間の情報であるため、一時的な費用や売上計上のタイミングによって大きく変動することがあります。1回の決算だけで結論を出すのではなく、複数の四半期を並べて見ることが重要です。

初心者は、まず売上高と営業利益の前年同期比を確認し、次に進捗率、会社の説明、貸借対照表やキャッシュフローの変化を見るとよいでしょう。四半期決算とは、会社の現在地を早めに知るための資料です。決算短信・有価証券報告書と組み合わせて読むことで、短期の業績変化と長期の事業構造をより深く理解できるようになります。

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